2020年7月29日 TARMACの7台目、TARMAC SL7が発表された
今更ではあるが、書きとめておこうと思った。
THE ALL-NEW TARMAC SL7
エアロ性能か軽さ、またはライドクオリティーかスピードのそれぞれどちらか一方しか選べないのでしょうか? そんなことはありません。新しいTarmacは、UCI規則ギリギリの軽さで坂を上り、もっとも速く下れるバイクです。FreeFoil Shape Libraryから新しいRider-First Engineered™フレームに至るまで最先端技術をふんだんに使い、一切の妥協を排した真のレースバイクが誕生しました。エアロ性能か軽さのどちらかを犠牲にする時代は終わりました。新型Tarmacは、これまでで最速を誇るレースバイク。
https://www.specialized-onlinestore.jp/shop/g/g94920-0044/
エアロロードか軽量バイクか?
平坦基調のステージではエアロロードに乗り、山岳ステージでは軽量バイクに乗る。そして、TTステージではTTバイクに乗る。メーカーから機材提供を受けているプロはそのようなことが出来るが、一般の人ではそうはいかない。どれか一台. . . というのがほとんどだと思う。
100万円超えのバイクを買うような人であれば、複数台所有している人も珍しくないかもしれない。しかし、大半の場合は、クロスバイクまたは、前に乗っていたエントリーロードと最新のバイクの組み合わせではないだろうか。 TARMAC SL6 と VENGE、MADONE と EMONDA 、 SuperSix EVO と SystemSix を両方所有している人はなかなかいないと思われる。
そういう意味でVENGEを廃盤にし、TARMAC SL7 一つに絞ったのは選ぶ側から見ても良いのではないだろうか。
もちろんプロモーション上VENGEを廃盤にしたと思われるが、私もVENGEからSL7に乗り換えてしまった。
Aero is everything
■「Aero is everything-エアロこそすべて-」-スペシャライズドは、この言葉を長年唱え続けてきており、これは新しいTarmacでも開発の原動力となっています。UCI規則に準拠した最速フレーム形状を追い求める中で、私たちはVengeの開発工程を手本に、 FreeFoil Shape Libraryを活用しました。スーパーコンピューターがはじき出した理想の形状を自社風洞施設のWin Tunnelに持ち込み、モジュール式のテストバイクに組み込んでテストと確証を行いました。その結果、SL6と比較して距離40kmの走行で45秒速い、これまでにテストした中で最速のTarmacが完成しました。妥協は一切なし、とにかく速いバイクです。
https://www.specialized-onlinestore.jp/shop/g/g94920-0044/
” Aero is everything ” であるならば、VENGEだ。 空力性能だけ見れば SL7 < VENGE だ。スペシャライズド の公式資料を見てもそのように言っている。しかし空力だけ良ければいいというものではない。質量も重要な要素になってくる。 完成車で見たトータル性能は VENGE < SL7 だと思うが、VENGE+ROVAL CLX50、Rapide CLX 、Alpinist CLX とSL7を比較するとどうだろうか?
私自身 VENGE + CLX50 という組み合わせで乗っていたが、CLX64の時と比べるとかなりオールラウンドに使えるバイクだと思った。 そして、ヒルクライムに使うのであれば VENGE + Alpinist CLX で良いのではないかとも思う。
VENGEを廃盤にした本当の理由 ”あれっVENGEで良くね” ・・・ってなるから
今から購入を考える場合、SL7しか購入する事はできない。 しかし、USEDまで考えると VENGE+CLX50や32、Rapide CLX というのは選択肢として有りだと思う。
TARMAC SL7 試乗
初めて SL7に乗ったのは2020年8月のこと。 試乗に関して、特に時間的・距離的な制約はなかった。かと言って、そのまま100kmも走ってくるわけにはいかない。 5kmほど走って戻ってくる。
持ってみた感じ、確かに軽い。では、VENGEと比べて速いか? というと”速い”と明確には答えられなかった。
物事を比較するとき、apple to apple でで比較すべきだ
まず、ペダル。 試乗車にはフラットペダルが付いている事が多い。いつも乗っているバイクがビンディングペダルの場合、比較にならない。 試しにいつも乗っているバイクにスニーカーを履いて乗ってみてほしい。 びっくりするくらい遅い。いつも軽快に走るSL7が、どこかもっさりしていてまるで進まないバイクになる
Y’s road の店員が言ってた ”速く走るのに一番効果があるのは良いシューズにする事” 。 確かにその通りだと今は思う。
あとはタイヤ、空気圧、服装、シート高さなどのサイズ。。。シート高さは言わなくても合わせてくれることが多いが、それ以外はそのままということもあるので、できれば頼んで変えてもらうと良い。 特にペダル、空気圧は。
TARMAC SL7 購入
試乗した時に、すぐに買い換えようと思わなかったSL7だが、結局は買ってしまった。 VENGEを廃盤にしたSL7、トータルでは速いのは間違いないだろう。 もっと速く走りたいと思った時に最終的にはSL7に行き着く、これ以上のバイクはないのだから、あとは自分次第だ。
トレーニングして速くなるかSL7に乗り換えて速くなるか。。。どちらが簡単かと言われたらSL7に乗り換える事。。。というのが本音かもしれない。 完成車で145万円はすぐに出せないけど、フレームセットならなんとか、また、VENGEのフレームを売ったり、お店独自のポイントで他の物を購入できたり、今なら少しだけ値引きして売っているお店もある。
そうすると追い金??円でSL7に乗り換えることができる(それでも高いが、もう自転車バカなので仕方ない)
TARMAC SL7 の本当の速さは
■完璧なレースバイクの開発を目指す中で、Rider-First Engineered™を取り入れ、新型Tarmacは全サイズでもっともバランスに優れ、ハンドリング性が最高となるよう作りました。ボエルス-ドルマンス、ドゥクーニンク・クイックステップ、ボーラ-ハンスグローエというワールドツアー3チームに所属する世界最高峰アスリートの協力のもと、彼らの超人的な走行距離や経験に基づいてTarmacに改良を加えました。フロントとリアエンドのライドクオリティーのバランスを最適化し、サドル上で長時間過ごす日も快適です。しかも、Tarmacの定評あるハンドリング性やレースで勝利を収めてきた軽快さは一切損なわれていません。
https://www.specialized-onlinestore.jp/shop/g/g94920-0044/
こうしてSL7に乗り換えたわけだが、SL7は劇的に速く・・・はなかった。特に普段走る平坦な道では。 当たり前といえば当たり前だ、スペシャライズドがそう言っている。空力性能はVENGEの方が上だ。
登りではSL7が優位だ。 特に緩斜面をダンシングで進む時がめちゃめちゃ気持ちよく進んでくれる。適度にBB周りがしなり(しなってるのかどうかわからんけど)、車体全体をグイっと前に進めてくれる、この感覚はVENGEでは得られなかったものだ。
剛性の話をすると、フロントフォークからヘッドはSL7が硬く、BBとシートポスト周りはVENGEの方が硬い。 56さんもVENGEのBB周りの剛性については硬いと言ってる
乗り心地の話をするとSL7の方が悪いと感じる、主にフロントフォーク、ヘッドの剛性からくる手に伝わる振動のためだと思う。 絶対的に悪いかというとそうではなく、OGK Kabuto の BT-06 という厚さ0.7mmのバーテープを巻いたSL7で150km走ってもなんら問題はない。
気になる人は厚手のバーテープを巻けば良いし、もっというとタイヤを28cのチューブレスにしたら劇的に乗り心地は変わるだろう。
SL7がVENGEに対して最も優位な状況、それは下りにあると思う。 “ハンドリング性が最高となるように作りました” VENGEは若干アンダーステアだ。それに対してSL7は限りなくニュートラルステアに近い。回頭性が良い、フロントが意のままに狙ったラインに入っていく、かと言って切れ込みすぎる訳ではない。 下りが楽しい!
空力性能が良いフレームとコックピット周り、ホイールを組み合わせると下りでスピードが伸びて行く、さらにコーナーでもより高いスピード域で曲がっていけるのでさらにスピードが出る。
VENGEとSL7のジオメトリーは完全に同じものだ、ジオメトリーが同じなのにハンドリングにここまで差が出るというは興味深い。 どのカーボンをどこにどれだけ重ねていくか、細部のシェイプをどうするかなどを突き詰めてフレームが完成する
発表当初は入手困難だったSL7であるが、最近は在庫を見かけることも増えてきた。 迷っている方がいれば、このバイクは買いだと思う。
平坦はVENGEの方が速いし、ヒルクライムなら他にも軽量バイクはある。 他に欲しいなーと思うバイクはあるけれど、二台体制になったとしても結局乗るのはSL7だろう。
やはり、TARMAC SL7 は真のオールラウンドバイクだ
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